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zoom RSS ’72年の、忘れられない夏休み。。。。。〜ATG映画『午前中の時間割り』(’72)

<<   作成日時 : 2007/06/25 01:22   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 1

画像一般受けする娯楽大作ではなく、非商業的な作品をセレクトして提供していこうという趣旨の元に発足した日本アートシアターギルド(ATG)。そのATGが、もっともアンダーグラウンドシーンと結びついていたのが’60年代終りから’70年代初めだと思うんですが、今回紹介する作品『午前中の時間割り』(’72)もそんな時代に作られたモノ。去年DVDレコーダーを購入して以来、時間のある時にこれまで録りだめしたビデオをコツコツとDVDに落としているんですが、その際になんとなく見ていたらその不思議な作風にすっかり引き込まれてしまい、最後まで見てしまいました(笑)。

仲の良い女子高生、山中玲子(蕭淑美/シャウ・スーメイ)と今木草子(国木田アコ)。夏休みを利用して8ミリフィルムを片手に旅行に出かけた二人だったが、草子はその旅行中に事故死してしまう。。。
放心状態のまま帰宅した玲子は同級生の下村親二(泰野卓爾)に電話する。玲子、草子とよく遊んでいた下村は草子が死んだことを聞かされビックリする。そして2人は旅行中に撮影した8ミリフィルムを見る。駅のホームで2人を見送る下村の顔、列車内ではしゃぐ2人、ボート遊びをする2人。。。。。とりとめなく続く旅の記録。そして海岸で裸で泳ぐ2人。玲子に思いを寄せている下村はうろたえてしまう。
やがて海岸沿いの丘で大きな風船をあげようとしている青年、沖(沖 至)と、それを手伝う2人の映像。自衛隊を脱走したという沖に心惹かれた2人は、彼の隠れ家である船に案内される。だが、このことが仲良しだった2人の関係を壊してしまうことになってしまうとは。。。。

ん〜〜〜、いかにも’70年代初めのATG映画。監督は羽仁進。アングラ感といいましょうか、8ミリフィルムの映像を多用しているため、すっごい実験的な映像といった印象が残ります。以前、札幌ぶらり旅をしたときに、そこの名画座で偶然見たATG映画『初恋:地獄篇』(’68)もヘンな作りで印象に残ったんですが、本作も同じ羽仁進監督なんですねぇ。素人さんを使っているのか、登場人物たちの朴訥とした口調がまた妙にリアルというか(笑)。当時の代々木ゼミナールの前で座り込みをする下村の映像はゲリラ撮影のようです。ゼミの関係者が”ここは敷地内だから出なさい”なんて言ってます。この辺はいかにもあの時代のアングラ映画って感じですね〜。虚と実を織り交ぜる作風というか。寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』(’71)でもこんなシーンあったなぁ。
素人か役者かわからないような人ばかり登場する本作の中で、一際個性的なのが草子を演じる国木田アコさん。つみきみほさん?ん〜〜フラワーメグさん?といった、一度見たら忘れられない顔です(笑)。ボーイッシュで、キャッキャッ笑ってたかと思ったら急に泣き出したり、不機嫌になったり。。。。猫のようにコロコロと変わる表情がとてもキュートです。彼女に関わった人は確実に振り回されるんだろうなぁ(笑)。役者としては本作にしか出演してないのでしょうか?とても魅力的だし、これ1作だけというのは勿体無いような気がします。
もう一方の玲子役の蕭淑美さんは、アコさんと全く正反対で(笑)、落ち着いた、しっとりとした女の子。でも優等生っぽい雰囲気の中に見せる大人の女性のような仕草にはドキッとさせられます。
そして登場人物の中でビックリしたのが、海岸沿いで風船をあげようとしている不思議な青年・沖役を演じている沖 至さん!この方、’60年代後半から先鋭的音楽として注目されていたフリージャズ界の名トランペッターである沖 至さんご本人なんですネ。同じアンダーグラウンド界の住人であるよしみで出演されたのでしょうか?自衛隊のラッパ吹きの役なんてほとんど冗談じゃないですか(笑)。劇中での草子とのやりとり、

沖 : 『俺は自衛隊を脱走したんだ』

一拍おいて

沖 : 『だってぇ〜、つまんないんだもぉ〜〜ん♪』  ←いきなり唄いだす(爆)

草子 : 『でも脳みそは詰まってるんだろぉ〜〜?♪』 ←唄で返す草子(笑)

沖 : 『俺は自衛隊でラッパ吹きだったんだ』

草子 : 『ホラ吹きだったんじゃないのぉ?(笑)』

なんでこんなすっとぼけたやり取りするんだろ(笑)。草子のキャラと同じく、とにかく捉えどころのない映画。”こんなん映画じゃないやん!”と言う人もいらっしゃると思いますが、個人的には忘れられない映画の一つになりました。時間があるときに一人で見て、ゆっくりと余韻に浸りたい。。。そんな映画です。

画像そうそう、本作を印象深くしているもう一つの要素が音楽!!音楽監督を荒木一郎さんがやってらして、オープニングで使用されている曲『草子の散文詩』も名曲です。唄っているソフトロック系のバンドであるメープルリーフの唯一のアルバム(←写真)も名盤でごさいます(劇中で使われていた曲が何曲か収録されてます)。そしてこの時期の荒木一郎さんはサイケデリック&アシッドフォークな名盤『荒木一郎の世界』を発表していた時期だけあって、音楽のチョイスも素晴らしいのです。









さて、興味ある方はぜひご覧頂きたい作品なんですが、なんと本作はDVD化されてません!!(驚)。早くDVD化してくださーい。むかーしビデオ化はされているので、気の効いたレンタル屋さんなら置いてあるかもしれません。片隅のビデオコーナーをちょっと覗いてみてくだされ♪

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僕は知らない寺山修司NO.57⇒「青ひげ公の城」(劇団☆A・P・B−Tokyo)
「青ひげ公の城」(劇団☆A・P・B−Tokyo) ...続きを見る
飾釦
2007/06/25 23:18
沖至
Itaru Oki : Page 上の写真前列左から二人目、帽子を被っているのが沖至氏。元ペイジ:フランスで活躍するシャンソン歌手薩めぐみのカセットテイプを久々に聞いていたら、突然フランス語の「浜辺の歌」が出てきた。d&eacute;paysementである。似たような経験を思い出した。Parisの劇場でコンテンポラリー・ダンスを見ていたら、ダンサーのひとりがいきなり「あんたがたどこさ」と歌いだしたのだ。新聞に沖至の名前を見つけて、その劇場に会いに出かけたのだった。「沖さん、私のこと覚えています... ...続きを見る
Ceci n'est pas une p...
2009/08/24 14:55

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内 容 ニックネーム/日時
ノーブラがいいぜ、さすが70年代、たまらねえ。
見士
2015/03/11 13:59

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