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zoom RSS ’63年産日本製モンド映画を見た! 〜『日本の夜/女・女・女物語』(’63)

<<   作成日時 : 2006/11/05 23:58   >>

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画像戦後、関西で武智歌舞伎を創始し、日本の古典芸能の巨匠と言われていた武智鉄二さん(1912−1988)の監督作品の特集上映が渋谷のイメージフォーラムで行われてます。60年代初めから”映画における性表現”に果敢に挑んだ監督だと言えます。
となんかえらそうに書いてますが、わたくしはお名前を知っている程度で(汗)、大島渚の『愛のコリーダ』(’76)に次いでハードコア表現に挑んだ愛染恭子、佐藤慶主演の『白日夢』(’81)を撮った人、くらいの認識しかありません。元々興味はあったので今回の特集上映のチラシを見ていたら気になる作品が多々あり、いい機会だと思って足を運んでみました。見たのは武智鉄二さんが始めて演出したというドキュメンタリー、『日本の夜/女・女・女物語』(’63)です。

映画の冒頭は街中を行き交う女性たちの姿。わー、これを見るといかに日本の女性が変わったかがよくわかります(笑)。今じゃ街中に可愛い子、キレイな子は溢れてますが、この頃の日本女性はとても”和”な顔、体形をしてらっしゃいますネ。女工さんでしょうか、みな頭に同じ布を巻いてる集団とか、とっても新鮮。そして唐突に大きなステージに横並びした踊り子さんのレビューシーンでタイトルバックになります。キャバレーって聞くとこういうレビューの絵が浮かびますが、今じゃこういう店って存在しないんですかねぇ。ってだいたい”キャバレー”ってモノがもうないか(笑)。

画像で、内容はこの作品が撮られた60年代始めの日本女性の生態に迫った(?!)ドキュメンタリーになってます。これって前年にイタリアで作られたグァルティエロ・ヤコペッティ監督のドキュメンタリー『世界残酷物語』の世界的ヒットにあやかって世界各国で作られたパクリ映画の1本なんですね。ヤコペッティが同じ年に発表した『世界女族物語』の日本版とも言えます。まだまだ日本も奇異の目で見られてた時代ですから、格好のネタですよね、これは(笑)。
しかし今見るとこの手の作品はほんと”ヤラセ的演出”が見え見えですねぇ(苦笑)。劇中では



○武智本人が考案したというヌード能(!)
○キャバレーでの女レスリング(腰に風船付けて。。。ほとんどお遊びっすね)
○ゲイボーイの日常 (本物の女性より女っぽい仕草!)
○場末の温泉地でのストリップショー (場末の温泉地ってとこがポイント/笑)
○ナイトクラブでのヨガ・ショー (踊り子が小太りな娘ばっかでセクシーからほど遠い/笑)
○隠しカメラが捉えたズベ公によるカツアゲ (どーみてもヤラセ)
○麻薬中毒の女 (施設での様子。ほんとなのかなー)
○女性にも人気の蛇料理 (こんなんみんなが食べるわけない/笑)。
○深夜のジャズバーに集う若者たち (今はジャズがロックに変わっただけ)
○アパートでセクシーな遊びにふける女性たち(下着姿になって遊ばないっつーの/笑)
○祇園の芸者
○NHKも公認の美容体操
○休憩時間に屋上でダンスする若者たち (男は短パン一丁!んなこたしないだろー/笑)
○刺青を彫る女 (今じゃ”オシャレ”ですもんねー)
○女性ビール飲みコンテスト (優勝者は着物姿のおばちゃん)
○’62年度ミスユニバース日本代表選出会 (司会はトニー谷!!)
○高級コールガールの生態 (これもやらせ見え見え)
○女剣劇の華麗なる殺陣(ほとんど男。浅香光代さんもビックリ/笑)
○海女さんたちの昼の顔(着物着て”タムレ”踊ってる。ってか”タムレ”って何?!)
○雪の新潟での着物ショー(モデルさんたちキレイ!)
○SM撮影のモデルたち (畳と縄。。。わびさびですねぇ。ってかワキ毛出てるヨ!)
○青森県・恐山のイタコ (思いっきりメ○ラって言ってる/汗)
○美容整形手術 (胸にシリコン注射!)
○帝王切開手術 (手術シーンはやめてー!/泣)
○滝に打たれてダイエット
○尼僧になる女。。。。。。etc

画像と思い出すまま書いてみましたが、まぁ、やらせ映像満載のゆる〜〜い作りでございます(笑)。この手のドキュメンタリーにありがちな見世物的な内容です。いやー、でも歓楽街のストリップ小屋が並ぶ光景など目を見張る映像も多いです。ストリップ全盛期なんでしょうか、もう画面からパワーみたいなモノが伝わってきます(笑)。今じゃすっかり黙殺されてるこの手のドキュメンタリーですが、当時の貴重な資料とも言えますよね、これ。この頃は『狂った大陸・これがアメリカだ』(’66)、スウェーデンを題材にした『フリーセックス地帯を行く/天国か地獄か』(’68)、『ハレンチ地帯をあばく・裸にされたイギリス』(’69)といった世界各国を裏から撮ったドキュメンタリーが多く作られてるわけで。。。。。(作ったのはみんなイタリア/笑)。

さて、こんなゆるい作りの中で、映画のテーマ”女性”とは全然関係ないモノが2つありました。しかしそれがかなり衝撃的な映像だったんです。
ひとつは’61年に釜ヶ崎(現:あいりん地区)で起こった釜ヶ崎暴動の映像。老労働者のひき逃げ事故の際、救急車を呼ばずに労働者(結局死亡)を放置し平然と現場検証をした警官に、日頃からひどい扱いを受けていた労働者たちの怒りが爆発して機動隊まで出動する騒ぎとなった大暴動ですね。聞いた事はあったのですが映像で見たのは初めて。ここだけモノクロでしたが、凄まじい迫力でした。

そしてもう一つ、これが一番の衝撃だったんですが。みなさまは’60年に群馬県谷川岳で起きた遭難事件をご存知でしょうか?俗に”谷川岳宙吊り遺体ザイル銃撃収容事件”と言われている事件です。’60年9月19日に群馬県谷川岳警備隊に”救助を求める声が聞こえた”との通報があり現場に急行したところ、当時登頂に成功した例が一件しかなかったという超難所の岸壁にザイルで宙吊りになっている2名の登山者を発見(前日に登山した登山者だが発見時には既に死亡していた)。超難所なため2次遭難の可能性があり直接の遺体収容は困難との判断から、宙吊りのザイルを狙撃により切断して遺体を収容することなったという痛ましい事件です。発見から5日後の24日に自衛隊の狙撃部隊が呼ばれ銃撃が開始されたがはるか遠くのザイルを切断するのは困難を極め、数時間の銃撃でもなかなか成功せず、結局ザイルと岩の接地部分を狙うことでザイル切断に成功し遺体収容に成功するわけですが、とにかく痛ましいの一言に尽きます。。。。なんとこの事件の映像が本作に入ってたんですね。事件発生から5日も経過してたわけで、既に自衛隊による狙撃の段階では多くの報道関係者が現場に入っていたようです。ザイルが切断されて岸壁に叩きつけられながら滑落する2名の遺体の姿が脳裏に焼きついて離れません。。。。。見守っていた遺族もたまらなかったでしょうが、当時はTVでも中継されたようで(今じゃ放映不可能ですね)、視聴者も衝撃を受けたのではないでしょうか。

ところでわたくし、この事件のことを知ってはいたんです。初めて知ったのは、数年前まで毎年通っていた(笑)『稲川淳二の怪談ナイト』の”因縁”に関する話の中ででした。この事件の報道カメラマンが稲川さんに話した話だそうです。
そのカメラマンの方は元々登山愛好者なので遭難者の方が所属した山岳会の集まりにその事件以後ずっと参加されてるそうなんですが、そこで遺族の方が1枚の写真を持ってきたそうなんですが、それを見てそのカメラマンは絶句してしまったらしいんです。その理由は。。。

話は事件当時に戻ります。事件発生を聞いて局から現場に入るよう要請されたそのカメラマンはスタッフや山岳会のメンバーたちと山に入ります。途中で悪天候に見舞われ山小屋に一泊するんですが、猛吹雪の夜中に戸を叩く音がする。みんな気味悪がる中、カメラマンが戸を開けても姿がない。。。翌朝入り口を見ると足跡があったので、ひょっとしていないと思って先に行ってしまったと思い慌てて追いかけることに。スタッフと共に足跡を追ってくとあるところで足跡が途切れる。そこはよく見なければわからない細いひび割れ穴がありその下に死後1年の遺体が。。。遺体の身元はわかりカメラマン一行は先を急ぎ事件を記録するわけです。

さて、その写真です。遭難者が遭難直前に山小屋にいた登山者たちと撮った集合写真。笑顔で写る遭難者の肩に手をかけて笑いかける男。。。。その男は、そのカメラマンが現場に向かう途中に見つけた遭難遺体の男だったんです。この男はこの時点で既に死後1年だったはず。そのカメラマンは”ひょっとしたらこの男は自分の遺体を発見してもらいたいために、2人の登山者を遭難させたのかもしれないなぁ”と稲川さんに語ったそうです。。。。。

この話、怖さもありますが、なんか切ないですよねぇ。ザイルで宙吊りになっていた登山者のはっきりとした死因は既に亡くなっていたため不明ですし(かなり高所からの滑落のため遺体の損傷も激しく、法医学解剖も無理だったでしょう)、なんともいえないのですが、先に遭難していた男が見つかりにくい場所にある自分の亡骸を発見して欲しいがために大勢の人を山に入れるべく。。。。。ってやっぱ考え過ぎでしょうか(苦笑)。

あら、モンド映画から心霊話に発展してしまいましたが(汗)、”貴重な記録映画”であることには違いないです。

本作は明日(11/6)まで上映してます。興味&時間のある方はぜひご覧ください!



※’08 9/10 追記

 ○”谷川岳宙吊り遺体ザイル銃撃収容事件”の当時のニュース映像発見!!(驚)

   http://jp.youtube.com/watch?v=P7eYX9eQaKY&feature=related

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登山家・客の多い観光地などで発生する事故などに対処するために山岳救助隊が設置されている消防本部もあります。よく遭難のニュースがながれた時に山岳救助隊という名前を耳にすると思います。専任隊のところはほとんどなく、多くは救助隊が兼任しています。山岳救助隊... ...続きを見る
東京消防庁を目指す!!消防官への道
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