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zoom RSS 田中登監督初期の傑作2本を見た!〜『牝猫たちの夜』『夜汽車の女』(’72)

<<   作成日時 : 2006/10/03 00:09   >>

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志穂美悦子さんの空手映画レビューは次回に延期デス(笑)

現在、日活ロマンポルノの名作の数々がデジタルリマスターされて綺麗な画像でDVD化されてます。わたくしがよく行くレンタル屋さんは必ず入荷してくれるのでコツコツと見ていってるんですが、つい先日発売された最新ラインナップから、ロマンポルノの監督の中ではかなり個性的な作風の田中登監督の監督2作目『牝猫たちの夜』(今回が初の商品化!)、監督3作目『夜汽車の女』を鑑賞。

○『牝猫たちの夜』(’72)
 映画は、結婚式の帰りに新宿の高層デパートの食堂でスパゲティを食べながら談笑している3人の姿から始まります。新宿のトルコ(!)で働く昌子(桂知子)、ジュン(原英美)、おみつ(牧恵子)。彼女たちの日常を淡々と綴っただけの映画なんですが、不思議と引き込まれてしまう不思議な作風。冒頭のデパートでの食事シーンから新宿コマ劇場前の広場に出て3人揃って歩くところでオープニングタイトル。なんつーかこの時代の様々な新宿の風景が全編にわたって登場するので、その辺も見所です。新宿西口の思い出横丁や、西口から東口アルタ側に抜ける地下道(入り口近くの小さなペットショップが映りますが、いまだにこの店ありますネ/笑)など。。。。。

金食い虫の若いチンピラ、健に付きまとわれていたジュンは健にもう2度と来るなと言い捨て別れるが、彼の兄貴分である堺が現れ、また同じようなパターンの生活に戻ってしまう。。。

将来美容院を経営するためにお金を貯めていたおみつは、客として訪れた銀行の預金係・青野の口車に乗り、大金を持ち逃げされてしまう。。。。

そして本作のメインキャラである昌子。昌子はアパートの隣室にすむ本多(吉澤健)に密かに思いを寄せていたが、彼はゲイボーイの誠(影山英俊)を可愛がっている。やがて誠にチコ(浅井麻千子)という彼女ができるが、まだ女性と寝たことがない誠は不安にかられ本多に一緒に来てくれと頼むが結局失敗し、隣室にいた本多に気付いたチコは逃げ出してしまう。
落ち込む誠を不憫に思った本多は、昌子に”誠と寝て男にしてやってくれ”と頼む。やがて3人での奇妙なデート。。。。
自信を持った誠は再度チコと会い寝るが、また失敗してしまう。”さようなら!”とマンションの階段を駆け下りていくチコの姿に絶望した誠はそのまま階段から身を投げてしまう。下の喫茶店でマンガを読んでケラケラ笑っていた本多の目の前に横たわる誠。。。。

指名ですよーと呼ばれてフロントに出てきた昌子の前に立っていたのは本多。複雑な表情のまま接客する昌子。やがて本多の口から誠の死が告げられる。悲しみにくれる本多に”抱いてよ”とせまる昌子。狂ったように抱き合う2人。。。。。。

早朝の新宿西口。寄り添いながら歩く昌子と本多。道路に倒れこんだ本多に”じゃああたし、先に帰るわ”と昌子。やがて銀行のシャッターが開き始め、街が動き出す。。。。。

おっと、割と細かく描写しちゃったかな(笑)。いやー、当時の雰囲気を真空パックしたかのような空気感も見所なんですが、決して表世界と交わらない人たちの生活の描き方がすっごいリアルに感じられるんですよねー。昌子の住むアパートの家具調度品の懐かしさもまた良し(笑)。
また物語の合間合間にシュールな映像が入ってるのも魅力♪3人の奇妙なデートのシーンでの透明傘を使った幻想的なシーンはとても印象に残ってます(こういう演出が田中監督の持ち味でもあるんですが)。
主演の桂知子さん、決して綺麗な方ではないのですが(失礼!)好きな男に想いが届かないもどかしさを持ちながらも気張って生きる女性を見事に演じています。”ロマンポルノってただのエッチ映画でしょ?”なんて偏見を持っている方にこそ見て欲しい作品ですねー。りっぱな恋愛映画ですよこれは。
昌子の住むアパートの近所に住む(?)怪しい人役で丹古母鬼馬二さんが出てます(チョイ役ですがインパクト大!)。

見終わったあと不思議な余韻の残る作品です。いいなーこういうの。レンタルにあったらぜひご覧あれ!


画像○『夜汽車の女』(’72)
 田中監督3作目の作品は、高級住宅街に住む美人姉妹の奇妙な関係を描いたモノ。

閑静な高級住宅街にある考古学者、水城元(雪丘恵介)の家には裕美(続圭子)と冴子(田中真理)という仲の良い姉妹がいます。母親が早く死んだ為に裕美は冴子の母親がわりのような存在で、2人は異常なほどの姉妹愛を感じていた。裕美と、父の研究室で働く有川(織田俊彦)との結婚話が持ち上がるんですが、冴子は”お姉さま、結婚なんてしちゃイヤ!”とごねるわけです(笑)。
この2人の思いだけでもただならぬモノがあるんですが、この家の主もヘン。住み込みの女中、ひろ子(桂知子)と関係を持ってます。アングラ劇団で放浪していたところを拾われたというこの女中、ひろ子もヘン(笑)。食事の後片付けの時にわざと皿を落とし、細かい破片に平手を押し付け、その手を見つめるのが癖(訳わからん/笑)。仲の良い姉妹2人がお風呂でじゃれあってるのを覗き見て、後で一人悶々としたり。。。。。
裕美と有川の結婚を良しとしない冴子は、元と裕美が留守の時に訪ねてきた有川を誘惑して抱かせ、やがては裕美の目を盗んで密会を重ねます。有川は冴子にゾッコンになっちゃいますが、冴子はその気なし(笑)。
そんなある日、いつものように女中と関係していた元が脳溢血で倒れ寝たきりになってしまいます。冴子にゾッコンな有川は、裕美に詫びを入れたあと(!)寝たきりの元に冴子と結婚をさせてほしいと頼むが、元は、冴子は妻の不義の子で実の子ではないことを白状する。財産を継がせる為には裕美とでなきゃダメだというわけ。有川はあっさり前言を取り消します(おいおい)。
そんなことを知らない裕美は、一人信州に傷心旅行に。有川も急いで信州に旅立つ。そして冴子の前に実の父と名乗る男が”一目見たかった”と涙ながらに現れます(怒涛の展開!/笑)。出生の秘密を知ってショックを受けた冴子は、ひろ子から裕美と有川が信州に向かったことを聞き出し、夜汽車に乗って信州に向かいます(ここでタイトルの意味が!/笑)。

この夜汽車でのシーンがまたヘン(笑)。丹古母鬼馬二扮するカメラマンとヌードモデル一行や、瞽女(ごぜ/盲目の女旅芸人)の一行と乗り合わせます。三味線をバックに本物の瞽女唄が流れます。ここらへんのシーンはかなりインパクトあるわぁ(笑)。

さて、もうねんごろになって(笑)イチャイチャする有川と裕美の前に冴子が現れます。有川に席を外してもらい、二人きりになる裕美と冴子。

”お姉さまは冴子自身よ。お姉さまと冴子の仲を裂くことは誰にもできないわ!”

場面変わって、樹海を笑いながら走り回る裕美と冴子。合間に”湖から剃刀を持ってあがってくる冴子”、”互いの首に巻いてつながった赤い糸を剃刀で切る冴子”のイメージが切り込んできます。やがて鬼のような形相になった冴子が剃刀を振り下ろす。。。。。。

大きな木の根元に寄り添うように横たわる裕美と冴子。

時が過ぎ、元の屋敷。散らかった台所で抱き合うひろ子と男。男は冴子に”お前の実の父だ”と言った男。ひろ子のアングラ劇団時代の男だった。。。。。
男が去ったあと、食事を持ってダルそうに2階にあがるひろ子。散らかった部屋に寝たきりの元。そして元の口にトマトジュースを無表情で流し込むひろ子。。。。

と、ここで唐突に物語は終わります(えーーー!/笑)。こうやって文にするとえらいとっちらかった印象ですが、映像として通して見ると不思議と統一感があるんですよねぇ。
しかし、合間に入るシュールなカットにはほんと笑ってしまいます(笑)。ひろ子が裕美に元が脳溢血になったことを知らせに来るシーンで、いきなりバシュッ!っと意味もなく障子に腕突っ込んで登場するシーンには大笑いしちゃいました(爆)。いやー、ひろ子を演じる桂知子さん、いいわぁ。すっかりファンになっちゃいました。『牝猫たちの夜』に続いての登板。今回は茶髪のボブヘアーで、物静かで地味〜な女中を演じてます(冴子に常にバカにされてます)。休みの日に”お暇取らせていただきます”と姉妹に挨拶に行って部屋を出た後、冴子に”あの娘に休みに行くとこなんてあるのかしら?あははは!”と笑われるんですが、ほんとに行くとこなくて(笑)陸橋でアイスクリームをぼんやり食べるシーンとか、なんか可愛かったっス。
裕美役の続圭子さんは派手めの顔ですが、和服の似合う古風な女性を上手く演じてます。この作品がデビュー作のようです。
そして冴子役の田中真理さん!キレーですねぇ。ロシアの血が入ってるそうで(スタルヒンの血が入ってるとか?)、ちょっと日本人とは違う美貌が一際個性的です。

映像がキレイなので、あまりいやらしい印象は受けないかも。女性でも安心して見られる作品だと思いますヨ。レンタルで見かけたらぜひ♪



さて、現在発売中の”日本の映画とロックと歌謡曲”の雑誌HOTWAXの最新号で、日活ロマンポルノの特集をしてます。今回紹介した『夜汽車の女』をはじめ、田中登監督のインタビューや他作品の紹介もされてますので、もし興味持った方は読んでみてはいかがでしょうか。ロマンポルノのサントラより5曲抜粋した付録CDが付いてますヨ!!!

詳細はこちら→http://www.ultra-vybe.co.jp/hotwax/6/hotwax6.html

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
田中実さんが亡くなりましたね。合掌。。。
意識して田中実監督作品は見た事は無かったので、
今度、じっくり見てみようかなぁー。(牝猫たちの夜)

お気に入りは泉じゅんさんでしたが、田中真理さんはキレイですよね。
『夜汽車の女』は微かに見た覚えが・・・。(3本立て!劇場で)
勿論、後追いですよ。72年は中坊でしたから。
今思えば、
石田えりさんを初めて意識したのは『ダブルベット』でした。
ちぇいすー
2006/10/05 23:23
訂正です。
田中実 → 田中登
失礼しました。
ちぇいすー
2006/10/05 23:26
こんばんは!

えーーー!!田中監督亡くなられてしまったのですか?!最新ニュースなのでしょうか?!わー、残念ですねぇ。。。。
今年の3月の日活ロマンポルノオールナイトに行った時にトークショーゲストで田中監督と小沼監督がいらしたんですが、劇場に向かうエレベーターで会場入りするお2人とご一緒した時はドキドキしたんですが(笑)。。。。

泉じゅんさん、『スーパーガール』にも出てましたネ(笑)。
『夜汽車の女』、劇場でごらんになったんですね!数ヶ月前にラピュタ阿佐ヶ谷での田中登監督特集でかかってたんですが見ときゃよかったなぁ。。。
わたくし、’72年は1歳でした(大汗)。ここんとこロマンポルノの面白さに気付きましてDVDちょこちょこ見てますが、”昭和の風景”が見られるのも含めてすっかりハマってます(笑)。エロを超えた、人間の本質(?)みたいなモノを見せつけられる感じで唖然とすることも多いです。ついこないだも神代辰巳監督(この方も亡くなられてますね。。。)の『やくざ観音 情女仁義』(’75)見ましたけど、主人公の破滅ぶり&ラストの凄まじさにあっけにとられてしまいました。
ふぁぶ
2006/10/06 00:45
ネットニュースで記事見つけました。
ご病気で亡くなられたようで。。。。
ご冥福をお祈りいたします。

わたくしも訂正(汗)

『やくざ観音 情女仁義』(’75)→’73年の作品でした。
岡崎二郎さん入魂の演技にはほんと参りました。。。
ふぁぶ
2006/10/06 23:29
13日から監督の故郷信州で特集上映を企画していたものです。
監督もお招きする予定でした。監督に代わり結城プロデューサーが監督の世界に迫ります。昨晩プリントチェック試写しました。「牝猫〜」びっくりするくらい綺麗なプリントです。お近くの方是非お越し下さい。
松本CINEMAセレクト
URL
2006/10/10 20:46
ほんと突然の訃報にビックリでした。。。。

素晴らしい特集上映ですネ!近場だったら行きたかった(涙)。。。
『牝猫〜』、ほんとに夜遅くの上映なのですね(笑)。そのまま映画の中の”夜”とつながってしまいそう。。。。やはりこういう作品は映画館の暗闇の中で劇中の世界にとっぷり浸って鑑賞したいモノです(笑)。
ふぁぶ
2006/10/10 23:06

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